清澄山前衛の尾根

“玄人好み”の尾根歩き

外房線の天津駅から山に入り清澄山を詣でて二つの滝を眺める案内標識ゼロのコースを歩く“玄人好み”のコースを案内しましょう。

鴨川終点一つ手前の天津駅に降り立ったら、路線バス(日東交通バス)を利用して坂本で下車してもよいが、全コースを歩いた方が南国気分を味わえてよい。天津駅の裏手に建つ東大演習林の事務所で、清澄周辺への立ち入り許可を得るところから始まる。電話・ファクスでも許可を求めることが出来る。

外房線の踏切を渡り、清澄寺への県道を北に向かう。およそ三百メートルで天津バイパスのガードを抜ける。町並みが途切れ、左側の二間川沿いに山に向かう。左が旧道、右が新道の分岐があるが、新道を利用した方が近道だ。

左手の新しい特養ホームを過ぎると、二間川は右側に移る。新道がやや坂道に差し掛かる処で、右手に坂本集落へ入る路がある。坂本のバス停もある。

この路は谷間に沿った昔の清澄参詣道だ。だから途中に石仏もある。坂本の民家が切れた所が古い木橋で(左の道は水道の浄水場だ)これを渡った先に鉄製のゲートがある(ここから先は許可が必要)。そのまま沢沿いの山路を進む。左の谷が深くなると素堀りのトンネルがあり、これを越えると奥谷ダムだ。水道用のダムだけあって、澄んだ水が貯えられている。右上の崖にはイワタバコや十文字草が群生しているが、冬の今は枯れていて見えない。

ダムの水が切れる上流に来ると、左下の深い沢に細々とした滝音が聞こえてくる。左側の枝沢にかかるのが観音沢で、本流にあるのが稚子滝だ(これは帰りに寄ることにしよう)。この二つの滝のすぐ右側に踏み跡程度の細い山路が尾根に向かっている。ここから深い樹林のコースが始まる。

ひと汗かくころに尾根に飛び出す。右の海側から細い路が続いており、左へ進む。

小ピークを越えると右に太平洋の海、左に白い仏舎利塔と黒々した三角の清澄山が眺められる。一息つきたい処だ。

ここから先の二時間は、樹齢百年から二百年の立派なモミ林が続き、ひたすら北へ進む。時おり日本鹿に遭うこともある。くれぐれもケモノミチに迷い込まないようにしたい。やや長かったなと思われる頃に、右下に林道が見えてくる。天津から登ってくる新しい林道だ。コースは清澄寺~麻綿原への林道に飛び出す。一杯水という地点で大休止にふさわしい処だ。ここに来て初めて案内標識に出会う。

清澄方面への林道をたどる。高天神のピーク、アンテナピークを過ぎると、清澄寺裏の妙見峰だ。そのまま林道を進んでもよいが、左の細道に入れば寺の裏側に出る妙見峰を巻く道だ。

清澄寺は、成田山や中山法華経寺クラスの大きな寺社だ。

広い庭を左手の大杉方面へ進めば仏舎利塔のある日本山妙法寺へ。足元には天津の海、遠くに仁右衛門島が眺められる。

仏舎利塔を背に左側の細道に入って、ひたすら下り路。そのまま流れに沿って下れば稚児滝、飛び石伝いに対岸の林道へ。分岐点から左に進むとメタセコイアの大木がある野獣園跡から武射土畑の苗木畑で、ここから川へ下る。鉄橋を渡れば林道に。右の川下へ進めば今朝の山路分岐へ。この先から二間川へ下りれば、観音滝と稚児滝へ。ここはザイルがあった方が安全だ。

林道を下れば、鉄のゲートから坂本のバス停へ。

(記 – ふわくHC鵜沢さん)