懸垂下降中、バックアップ用スリングのロックが外れずに宙吊り状態に

2009年
6月
性別 女性
年齢層 60歳代
登山形態 クライミング(外岩)

状況
終了点から懸垂で下降中のこと。
懸垂下降ライン上にあった深いギャップを避けようとして、右にトラバースしようとした時に、テープスリングでとっていたバックアップ(マッシャー結び)に体重がかかり、ロックがかかってしまった。
バックアップは下降器の上にセットしていた。
バックアップに添えていた手を一瞬放してしまったためによるロックだ。
バックアップがメインロープに食い込み、宙づり状態になってしまった。

手持ちのスリングを使い自己脱出を試みたが、どうしてもロックが外れないため、上部にいたメンバーが救援にむかいロックを解除し、無事に取付点まで下降することができた。
他のメンバーがいたことと、救援用のロープがあったことで大事には至らなかったが、ヒヤリとした。

教訓・反省
懸垂下降でのバックアップセットについては賛否両論がある。
トップで降りる人は、セットするのは常識だが、セカンド以下のメンバーの場合、上記のような事例があるため、あえてセットしない人も多い。

マッシャーやプージックなどの巻き付け結びによる「ロック問題」は時折生じるということを肝に銘じておくことが必要だと思った。
この問題を避けるためには、
 1.バックアップをとる位置は下降器の下
 2.プージック専用ロープ(径7mm)の使用
 3.トップ以外はバックアップをセットしない
などの対策が考えられる。
このうち、3については、下降中のメンバーに緊急事態が起きた時に、下にいる人が素早くロープを引くなどの緊急対策をとることが前提となると思う。